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監獄島東地区にある第一等星警備警察隊事務所内に於いて、隊員達が騒いでいた。
「隊長が行方不明です。スピカ副!」
「僕に言われても困ります。山とかカジノとか酒場とか連絡網を使って探してください」
事務所の仕事部屋に積み重なる資料を片付けていたスピカは、走り込んできた部下に顔を向ける。
本来、警備隊の指揮を取らねばならない位置に居る人物は、仕事を投げ出して逃亡中だ。現在、副隊長として就任するスピカは独断で隊を回す。
「そんな。スピカ副。山には人が居ません。連絡する術が」
部下が、苦笑い混じりに首を振る。
「すいません。お手数ですが、巡査。山へ向かってください。僕は、今から三等事務所へ行かないといけないんです」
話を聞いたスピカは、資料を束ねて重ねると部下に笑みを返す。すると、茶を啜る老体が、反対側から声を掛けてくる。
「今朝の事件ですかな? 儂も参りましょうかの?」
スピカは、椅子に掛けていたスーツの上着を片手に、部下に言い放つ。
「いえ。隠居さんは巡査と隊長の捜索をお願いします。会計長も思い当たる場所を探してください」
狭い事務所内に、五人の少数精鋭で組まれたこの部隊では、隊長、副隊長以外の呼び名は全てあだ名だった。年齢も様々で弱小のこの事務所に平穏が訪れることはない。
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