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押し問答する二人を嘲笑うように、貨物列車の汽笛が鳴る。
イブがマナを貨物列車の荷物搬入口に押した。
マナは、抵抗する間もなく車両に押し込まれた。
春風がゆるりと二人を撫でる。
慌ただしく靴音が押し寄せて来る。
マナは、イブが着る真白な胴着を握る。マナには容赦ない不安が押し寄せていた。
マナの汗ばんだ手には感触もなく、イブとの距離は遠かった。
「待って、話し合いなら私も参加するべきでしょう」
マナは、止めようと言葉を紡いだ。イブは、ひとりで実家に出向こうとしている。それは、危険なことでしかなかった。
二人は、リバームの首都ラマトールから大罪を犯して逃げてきた。
追って来るのは、ラマトールを治めている神官組織の治安団体だ。
二人は、神官の厳格な掟から逃れるためにリバーム駅へたどり着いたのだ。
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