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私は、走っていた。
ただ、ただ、走っていた。
理由は自分でもよくわからなかった。体が早く走れと言っている。
私の、奥底にあるものが何かに引き付けられている。
涙が流れた。自分でもよくわからない。走った先にあるものを見たら、涙が止まらなかった。
私の目線の先には、はるか遠くで燃える真っ赤な真っ赤な太陽。
すべてを焼き尽くすように思えるその炎は、私にはいとおしく感じた。温かく、時にすべてを奪いそうな太陽は、私が求めていたのと何も変わらない。
嬉しい、でも悲しい。
あなたは、ここではないところへ行くんだろう。
「私も連れていってよ……」
ここは生き苦しすぎるんだよ。
手を伸ばしても、届かない。太陽はいつもそうだ。
近くで私を照らしているような気がして、結局は隣の家の住人よりも遠くにいる。太陽に近づいても、結局は焼かれるだけだと、今私は改めて実感した。
そう、私とあなたの距離もちょうどこんな感じなんだろうね。
私の頭上のはるか上ににある、憎らしい火の玉が、嘲笑っている気がした。
全く滑稽な物語だと。
お前たちはどうしようもなく、愚かで、そこに落ちている腐った林檎よりも価値がないと。
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