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私は明日、処刑される。
そのことを、私は後悔してるつもりはない。飛び上がるほどの烈火に、無理矢理押さえつけられて、『人間』だった私はただの『物体』になる。
人が言う、炭とか灰とか。ただ私がこだわるのは、そこに熱が残らないか、ということだけだ。
間違っても炎の熱が飛んで、私の成れの果てに残ったりしたら、厄介なことになる。
熱い、熱い、この想いを消し去りたいから、私は処刑を選んだ。
選んだ、とは言い切れないが、私は自分の中でこうなることを、望んでいたのかもしれない。
自ら切り捨てられない、この胸の熱い想いに決別を。
この狂った世界から離脱を。
要するにここではない場所に行きたかった。どこでもない、何も、誰もいない場所。
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