fantasy

3/14
前へ
/14ページ
次へ
私は明日、処刑される。 そのことを、私は後悔してるつもりはない。飛び上がるほどの烈火に、無理矢理押さえつけられて、『人間』だった私はただの『物体』になる。 人が言う、炭とか灰とか。ただ私がこだわるのは、そこに熱が残らないか、ということだけだ。 間違っても炎の熱が飛んで、私の成れの果てに残ったりしたら、厄介なことになる。 熱い、熱い、この想いを消し去りたいから、私は処刑を選んだ。 選んだ、とは言い切れないが、私は自分の中でこうなることを、望んでいたのかもしれない。 自ら切り捨てられない、この胸の熱い想いに決別を。 この狂った世界から離脱を。 要するにここではない場所に行きたかった。どこでもない、何も、誰もいない場所。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加