fantasy

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呼び出し音が、建物に響いた。 しばらく待ってみても、奥さんは出ない。もう一回押しても出なかった。 どうやら留守のようだ。おかしいな、この前も留守で、回覧板を渡せなかったのに。 郵便受けには新聞がたくさん詰まっているから、帰ってはいないようだけど。 呼び出し音も、変によく響いた。陽気な子供たちの声も、大家が空き家を掃除する音もない。 いつからここはこんなに静かになったのだろう。それとも、みんな休みでどこかに遊びに行ったのだろうか。 ここで立っていても仕方ないので、私は自分の部屋に戻ることにした。歩く時の足に埃が纏わりつく、最初は叩いていたがそれもだんだん面倒くさくなった。 自室に着くと、いよいよやることがなくなってしまった。 仕方ないので、二千三百八十八回目のため息をついた。やり残したことがないように、明日を迎えたかったのに。 どうやら、隣の奥さんに回覧板を渡すのは諦めたほうがいいらしい。
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