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『幻想現実』―それは我々がいる世界とは異なる、誰かの幻想によって作られた仮初めの世界。
しかし現実より文明発達が遅いとか早いとかという違いはなく、根本的な世界の仕組みが違う世界。
その違いはたった一点にも関わらず、その一点は我々の現実と明らかな相違を見せる結果になっている。
その一点、それは世界の全ての住人が『怪魔』の存在の認めているという事実の事である。
怪魔、それはかつて幽霊や妖怪と呼ばれていたものの事をさす。
本来は太古からの言い伝えに過ぎなかった怪魔の存在がなぜ認められたか、それは明治時代まで遡るのでこの場では割愛する。
とにかくこの世界の住人は怪魔の事を犬や猫のように身近な存在に感じているのは確かである。
だが犬や猫と違い、怪魔の存在は時に人間の命を脅かす存在ともなりうる。
世界はそれを認め、そして人間は怪魔に対抗する術を身に付けた。
やがてその力を持つ者は結束し、組織を作って怪魔の襲撃に備えた。
そしてその組織の発祥の地でもあり、同時にこの物語の舞台でもある都市の登場である。
都市の名は『狭山市』、幻想現実の日本の何処かにある都市である。
北と南にある山に挟まれ、海に面した少し大きな都市。
この都市には日本のどんな所よりも高い確率で怪魔が出現する。
原因は山に挟まれている事による磁場の発生とも言われているが定かではない。
…この都市に、その男は…いた。
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