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「…やれやれ、相変わらずだな」
その様子を青年が苦笑しながら見つめていると、隣にいた主婦が聞いてきた。
「あの、それで駆除の方は?」
「ああはい、大丈夫ですよ。怪魔は一匹残らず駆除しました、万が一また発生した場合には…」
…青年と主婦が話をしている中、男は家の外で煙草を吸っていた。
辺りにむせ変えるような匂いの紫煙を吐き出しながら、男はお気に入りの銘柄『ホロコースト』を楽しんでいた。
男の服装は全身灰色、スーツから帽子に至るまで全ての色を灰に統一している。
唯一灰色じゃないのはシャツとネクタイ位、本人のこだわりなのだろう。
先程は鋭かった目も、今ではそこに親しみのある何かが見え隠れする。
―彼の名前は城島貴明、この都市で怪魔を専門に仕事をする探偵である。
探偵と言っても、舞い込んでくる依頼は推理小説のそれとはかなり異なる。
彼らの相手にする怪魔、それは時に他人の理解を凌駕する…現代の怪物。
住民はその存在を認めてはいるものの、それに対抗する術はあまりにも少ない。
普通の怪魔は特別害をなす事はないが、中には凶暴で手がつけられない怪魔もいる。
そのために組織された組織、それが『煉獄探偵事務所』である。
怪魔の依頼を取り扱い、依頼主から報酬をもらう…それが彼らの仕事である。
城島はタバコを楽しんでいると、青年が依頼の完了を告げに外に出てきた…
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