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怪魔を一人で倒す事のできない彼らはあくまで見習いとしてこの事務所で働いているのだ。
そう、ここでは人の常識の範疇の仕事にひいでていても意味はない…人の常識を越える仕事ができなければいけないのだ。
そして彼らはそれができるようになるまでは見習いのままなのである。
青年の名は詩本秀明、横にいる女性は秀明の妹で詩本沙織だ。
どちらもまだ若々しく、にも関わらず物凄く真剣に仕事をこなしていた。
…それは彼らの家柄に起因する事なのかもしれない。
詩本(うたもと)家、明治時代に怪魔の存在を立証し…その後の怪魔研究に多大な影響を与えた文豪の家柄。
日本で怪魔の存在を確認した二人の内の一人であり、この狭山市を創立した名主の一族の一つである。
そんな彼らには怪魔に対する抵抗力があり、それは血筋によって代々受け継がれている。
詩本家の本業は新書から古本までを取扱う老舗の本屋だ。
現在は秀明の父が店長を務めているが、秀明もアルバイトとして働いている。
いずれは本屋を継ぐ予定ではあるが、怪魔に通ずる家系として修行する必要があり…ここで働いているのである。
隣の沙織もそんな感じではあるが、彼女の場合は兄に巻き込まれた感が否めない。
それでも根がしっかりしているから、途中で放棄なんかしたりはしない立派な女性である。
…そういえば彼らにはもう一人、末の妹がいる…それが…
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