最悪な出会い

2/20
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/894ページ
でも正直見てしまったし、この後何か事件が起こったりしたら明らかに俺は当事者で、 後味の悪いものが残ると思い、とりあえず追いかけた。 正直、俺も怖かったし。 必死の形相でこっちを頻繁に振り向きながら低速で全力疾走する彼女をみて、 やっと理解してきた。 「もしかして俺の事を勘違いしてるんじゃあ・・・」 そう思ったら、急にワイドショーとかの特集を思い出した。満員電車の痴漢、冤罪。 女の方が絶対優位、何を伝えても警察は聞いてくれない・・・らしい。 こいつはヤクイ。 そう思ってなんの考えもナシにこっちも全力で走り、彼女に追いついた。 とりあえず追いついて、後ろから肩に手を置く(なるべくやさしく)。 「あのー・・・」 「アwwwwせdrftgyふjkl;くぁwせdrftgyふいこ;p@!!!」 座り込んで足をバタバタさせて泣きじゃくってしまった。 もう間違いない。俺は完全に誤解されている。 最初は「聞いてください、違うんです、違うんですよ!」と伝えていたが、 全然聞く耳もってない感じ。実際にどんぐらいの時間がたったのかしらないが、俺は あせるばかり。この状況を見られたらオシマイだ。 とりあえず強めに肩をつかみ、「静かにしてくださいよ!お願いですから!!」 と強く言っていた。 でもそんなんで静かにするわけない。今思えば「静かにしないとこの場でムッコロスぞ」 ぐらい言っといたほうがよかった気がする。 とかなんとか言ってたら、なんか後ろからサラリーマン風の男が 「ちょ、ちょっと!!アンタなにやってんですか!!」 とか言って俺を乱暴に引き倒す。 「どうしたんですか?どうしたんですか?」 メガネ野郎は俺と彼女を交互に見比べてそう繰り返した。 ウッセーバカヤロー、もう結論出てんだろ、もういいよ。ごめんなさい。分かってください。 俺は「終わった」という確信からさっきまでの「とにかくなんとかしなくちゃ!なんとかしなくちゃ!」 という意気は完全に萎え、「あ・・・う・・・」とかしか言えない。 彼女は嗚咽しながら鼻をすするだけで何も言わない。
/894ページ

最初のコメントを投稿しよう!