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はぁ…
と、無意識にこぼれたため息。
「…男、出来たのか…。」
彼女の隣には、仲睦まじくひとつの傘に並んで歩く男の姿があった。
ふたりが交わす笑顔、
互いの肩の雨粒を払いのけるしぐさ、
あまりに近すぎるように感じるふたりの距離を俺は睨みつけていた。
あいにく雨音と視界の悪さで、俺の存在には気づいていない。
ふたりは仲良さげにじゃれあいながら、たった今俺が入ろうとしていた居酒屋の暖簾をくぐって行く。
「……。」
雨音はなお一層激しく打ちつける。
「チッ。」
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