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「いらっしゃいませーっ!」
蒸気の涌くような暖かさに包まれた店内に、威勢のいい従業員の声が響く。
「わぁ、お客さん、やられましたねぇ!タオルどうぞーっ!」
気の効く店員は、頭からバケツで水を被った勢いの俺の姿を見るや否や、すかさず真新しいタオルを差し出した。
軽く頭を下げ、受け取ると、彼は板についたような満面の笑みを返す。
「お一人ですか?こちらどうぞーっ!」
前もって準備されていたのであろうそのタオルは、新しいが故に全く水分を吸い取ってはくれないが、
ガシガシと頭をこすりつけながら、店員に案内されたカウンター席に座る頃には、幾分か湿り気を帯び、その役割を果たしてくれた。
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