陽の当たる場所で

3/12
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
彼女は縁側に座った。     庭には色とりどりの花が、いくつか咲いている。   僕はいつものように、彼女の膝の上に乗った。   彼女は僕の頭を優しく撫でてくれる。   僕は気持ち良くて、ゴロゴロと喉をならした。     「陽の当たる場所で死にたい」     彼女は微笑みながら、空にある眩しい光を見て言った。   僕は彼女の見ている光を見ると、眩しくて目を細めた。     これが陽なんだ、と思った。     僕にはそのとき彼女の言っていた『死にたい』の意味が、よく分からなかった。     やがて窓の外がオレンジ色に染まり、あっという間に、暗い暗い夜になった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!