陽の当たる場所で

4/12
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
どれぐらい経っただろうか。 彼は幾分大きくなって、もう家族のようだった。     よく晴れた日だ。 私は朝から、彼と別れた日を思い出していた。   考える内に悲しみも怒りも、やわらかい風船のように膨らんでいった。     私は自分を止められなくなっていた。       いつの間にか、外は暗くなっていた。今まで自分が何をしていたかも分からず、左手には薬瓶が握られている。 頬には冷たくなった涙のあとがあった。右手で拭うと、手の甲についた滴が、光に反射して光っていた。   窓からは月が見え、私のお腹の上には気持ち良さそうに、わが物顔で座る彼が居た。     彼がゴロゴロと喉を鳴らす。   静かな音がお腹を伝わって響いてくる。     私の傍にはちいさな家族が居て、空からはきらきらと光る月が見守っていてくれていた。 次第に眠気の波が襲ってきて、私は静かに目を閉じた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!