疑心暗鬼

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「折り返し連絡するから」 佑美は一言だけ、相手に言うと電話を切った。 「佑美、どうしたの?」 「んっ? ちょっとしたコザコザ。たいした用事じゃないんだけどね」 と、言いつつも、佑美は深いため息を吐いた。 「大丈夫? ため息なんかついちゃって」 「大丈夫、大丈夫。それより、渋滞してるよね。朝早いからスムーズに着くと思ったんだけど」 「巷は連休だからね」 「連休かぁ。暦通りに休める会社は羨ましいよね」 「だよね。貧乏暇なしかな」 「アハハハ、上手いこと言うね」 佑美は僕の肩を叩きながら、大笑いした。
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