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秋は過ぎ、木々もその力を再びやってくる春に備え、新たな芽を蓄える季節…
そんな冬の中、一人の少女が隣を歩く長身の短髪の少年の数歩後ろをゆっくり歩いている
「はぁ~…」
口から出る白い吐息を手で作った透明な球へはくことでその場しのぎの暖かさを手に入れている
「さっむいねぇ…哲人君」
紺色のコートを着こんだ少女がその短い髪を右に左にゆらしながら笑顔で少年に話しかける
哲人「そーだな…」
素っ気ない態度で少女に目線も合わせずに言う
「冷たい…」
哲人の態度にか、気候にかはわからないが小さく呟いた…
少女の目線は哲人の肩、肩から肘へ、肘から手へ行くが哲人の手の甲は見えない…
彼の制服に入った手を見つめるが、何も言わず、沈黙でまた歩き出す
『つまんなぁい…』
ちなみに彼女も彼も同様に【駒井高校】と書かれた大きなバッグを肩から下げている。
二人の名は
藤井 哲人
伊藤 彩
二人とも駒井駒井バスケットボール部に属し、二人ともPF(パワーフォワード)と呼ばれるポジションにレギュラーとしている。
二人は付き合い始めて6ヶ月を越えている。
『最近…マンネリ化してるのかな…私に飽きたのかな…』
そんな不安が今、彩を襲っている。
どんなカップルにも…あるのかも知れない…倦怠期が来たとあやの心の中は満たされていた
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