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「ねぇ。この後、みんなでご飯行くんやって。アキくんもどう?」
長い説明会が終わった頃には16時を過ぎていた。
由美子はあまりに予想通りに女同士で群れていた。
「あぁ、いいよ。どこに行くの?」
そしてオレもその群れに入った。
女だらけの輪の中に1人オレ以外にオトコがいた。
林雅史。
彼とはこの後、四年間ツレでいるのだが…。
今はまだいい…。
「えっと…どこいこうか?」
輪の中の女の子が言った。
「…そうだね。………………………………。」
結局、カラオケだろ。って、思っていたら…大正解だった。
まだ免許も車も持っていなかったオレは、バス移動になった。
大学発のバスは空席がチラホラあり、バス移動のオレたちは固まって座った。
当然のように由美子が隣と思ったが流れは違っていた。
「ねぇ、アキ君ってどこ出身なん?」
竹田真由美。
いきなり隣に座ってきやがった。
「えっ?あぁ、オレ?広島だよ。」
「そうなんや。一人暮らし?大変やね。」
「あぁ、やっと引っ越しが片付いたよ。」
「へぇ~、じゃあ、今度みんなで遊びに行ってもいい?」
「あぁ、どうぞ。」
なんて事はない会話なのだが…、この女、距離が近い。しかも体を触る。
(上手いねぇ、コイツ。)
ちょっと遊びなれてるのか…、会話も上手い。
そして…可愛い。
こういう女、キライじゃないが…。
由美子は後ろの席で盛り上がっている。
ここは、流れに乗って利用してみますか…。
オレは何の気なしに窓の外を見て……ニヤリと笑った。
「へぇ~、真由美ちゃんって岡山なんだ。ところで…その髪の色いいね。可愛い。それって何色で頼むの?」
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