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「24日……明後日だけど……。平田駅で待ってるから…。1日ぐらい予備校休んでくれ。」
学校が休みになった為に、あれからマイに会うこともなかった。
ボクは電話でそれだけ告げて勝手に切った。
「えっ?でも……行けないよ……。」
マイは切る瞬間に僅かな声でいった。
ボクには来ないだろう予想はたっていたし、ある意味関係なかった。
当日は微妙な三者面談が学校であったが何を言われたか覚えてもいない。
14時に母と別れたボクはマイの予備校へ向かっていた。
僅かな期待をかけていたのか?ダメもとだったのかはよくわからない。
ただ、足が向かう方へと何も考えずに向かっていた。
「美沙…。マイはどこだ?」
予備校の自習室といわれる満員の部屋は息が詰まりそうな気がした。洋ランのボクみたいな奴は場違いこの上なかった。
「えっ?アキ?多分、この時間は授業とってると思うけど…。」
「どこだ?」
「多分三階…。どうしたの?」
「サンキュ。いるかな?行ってくるわ。」
「ちょっと……。」
ボク美沙を無視して廊下を早足で歩き階段を登った。
「待ってアキ…。」
ボクは静止も無視した。
ガチャン
扉を勢いよく開けて一番前から教室を見渡した。
マイはある意味予想通り男に寄り添うように座っていた。
ボクは壇上の先生であろう人に一礼をしてマイのもとへ向かった。
「マイ…………。」
「ちょっ……、アキ……。なんで?」
マイに何か言ってやるつもりだったのに…、ボクは一言しか言えなかった。
「マイ……、ごめんな。後で…、待ってるから……。」
たったそれだけしか言えなかった。
ボクを見上げるマイは何も言わなかった。
ガチャ
「アキぃ…。」
教室を出たボクに美沙は何も言えない感じだった。
「ごめんな、美沙。また年明けたら…。」
ボクは美沙をチラッと見て背中越しに手をふった。
行くのはきっと来ないであろう、待ち合わせ場所だ。
冷たい雨がボクを包むように降り続いていた。
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