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私はドアに向かって思いっきり吠えてやった。
本当にあの人はいいかげんというか、身勝手というか…
「まぁまぁ、そう怒りなさんな。あの人は掴み所が全くわからん」
唸っている私に、作業机から老人はそう声を掛けてきた。
「全くです!少しは私に気を使って貰いたい」
「…今喋ったのはお前さんかね?」
思わず喋った私に、老人の手が止まった。
私は一瞬迷ったが、マスターもああ言ったことだし、老人の元へと歩いて行った。
「申し遅れました。私は流星。貴方は?マスターと親しいようですが」
「流星くん、か。よろしく。私は見てのとおり、銃の修理士だよ。名前はブランク・エルノス。彼とは結構な付き合いだ…さぁ、ここへどうぞ。」
ブランクは隅にあった椅子を、作業机を挟んだ自分の向かいへと置いた。
私はそれに飛び乗ると、机の上を眺めた。
机の上は、何に使うのかはわからない道具が所狭しと散らばっていて、中央の開いたスペースで、マスターの愛銃“ボレロ”が見事に分解されていた。
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