命を奪うこと、奪われること

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“廃墟”と言えば、どんなイメージが浮かぶだろうか? 私は普段ならば、もっとまともな答えを言えるだろうが、今現在は、“銃撃戦”としか浮かばない。 ピュンッ また頭の上を一発、銃弾が掠めて行った。 こんなにか弱い犬の耳を撃ち抜くつもりなんだろうか。 ……… それだけは勘弁願いたい。 ピュンッ 再びやって来た銃弾に身をかがめた私の目の前に、男が一人、転がり込んできた。 「マスター…早くやっつけて下さいよ…私の耳が無くなる前に。」 「耳の一つや二つ、我慢しろ。」 私の耳は二つしかないんですが…? 男は素早く銃に弾を込めると、私たちが隠れている岩壁から一発撃った。 それと同時に聞こえる、男の呻き声。さらに別の男が大声を上げる。 「くそっ!! たかが一人にいつまで手こずってやがるんだ!!」 そして岩壁に降り注ぐ弾丸の雨。 「…あーあ。だりぃ…お前ちょっと行って噛み殺してこいよ。」 「マスターが一番最初にリーダーを撃ち殺してないのが原因だと思いますけど?」
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