命を奪うこと、奪われること

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今更だが、私の名前は流星。 これでも立派な雄犬である。灰色と白の毛で、背中に灰色の毛が筋のように走っている。 今は砂埃にまみれているが、本来の毛並みはたぶんモコモコ。 私の隣にいる男は、通称・マスター。 マスターには名前が無い。それ故に私はマスターと呼んでいる。とりあえずは私のご主人だ。 マスターは黒い髪に灰色の瞳。黒いジャケット、その下の白いワイシャツ、黒いズボン。 今は私ほどではないが、砂埃にまみれている。 考えどころか、性格すらわからない全く謎な人間である。 「…はぁ…もっとさぁ、一発で50人くらい殺せる武器がありゃーな…」 一つ言わせて貰えば、それは手榴弾を投げながら言うセリフでは無い。 爆発と同時に、男たちの呻き声が大量に上がった。 50人、とまではいかないが、結構な量を仕留めたらしい。 そうそう、マスターは旅人である。 今は、こんな廃墟で乱戦を繰り広げているが、れっきとした旅人だ。 いつもはもっと平和的な旅をして、世界を見て回っている。…と思う。
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