Reverse Story. <-Ⅶ>

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やっとのことでバイクを完成させて、旅立ちの準備を済ませる頃には、少年は16才になっていた。 少年の作り上げたバイクは、黒と白のモノクロ調に仕上がった。 寄せ集めの部品で作った割には、中々の出来だった。 少年はバイクに、昔読んだ本に載っていた、何処かの國の“白”と“黒”という言葉を取って、“ヴァロラ”という名前を付けた。 少年は最後に、今まで自分の“世界”だった國を振り返った。 「ありがとう、ございました。……さようなら」 そう呟いた少年の灰色の瞳からは、涙が一筋、流れていた。 城があった。 ボロボロに崩れて、威厳を無くした城が。 國(クニ)があった。 誰も知らない山奥で、ひっそりと廃れていく國が。 見るも無残な、古城聳え立つ國の亡骸で、動く影がは何一つ無かった。 =More to the past…=
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