盗難された國

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『このままここに居て、いつか売り飛ばされるのと、オレと一緒に来んのどっちにする?』 『オレの所有物になったからには、きっちり“管理”してやるよ。んじゃ、握手。よろしく、流星。』 簡素なビルの一室に連れられ、檻に閉じ込められている間、そんなマスターのセリフを思い出した。 ちなみにもう、 かれこれ2時間は経っている。 この約束はどうしたんだよぉぉぉ!!! と、思わず心の中で叫んでしまった。 いやいや、マスターのことだから、“ゆっくり”捜しているのかもしれない。 ほら、人間は鼻が利かないし。 …もしかしたら、居なくなったのに気付いてないのでは? いやいや、この前、愛銃・ボレロが盗まれそうになった時は即行取り押さえてたし。 ・・・って、私は銃以下か!? やっぱり人間なんか信用するんじゃなかった… あのまま生まれ育った地を離れないで、一匹で細々と生きていけばよかったんだ。 思わず泣き出した私をよそに、部屋に新たな人間が入ってきた。 「買い手見つかったよぉ~」 甲高い女の声と一緒に、やわらかい香水の匂いがした。 カイテ。 …よーするに私は売られるっ!?
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