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私はただただ呆然としていた。
『あれがそうじゃねぇのか?』
そう声が聞こえたかと思うと、盗賊のような格好をした男達が4人、瓦礫の間から現れて、私を指差した。
『あぁ、間違いない。とっとと捕まえて高く売り飛ばそうぜ』
…どうやらまた、珍しい喋る犬である私を捕まえに来た人間らしい。
私は噛み付いて追い払おうと身を構えた時だった。
『悪いけどさーこの犬、オレが先に見つけたんだけど』
最初にやって来た男が、私の前に立った。
『先だ、なんだなんて関係ねぇな。早いモン勝ちだ』
バァン!!
そう言った男は、そのままの体勢で微動だにせず固まっていたが、突然、額の一点から血を流し始めると、そのまま後ろへと倒れた。
『じゃ、遠慮なく』
私の前に立つ男は、硝煙の上がる銃を手に、平然として言った。
それを見た残りの3人は、一目散に逃げて行った。
男は銃を持ったまま、私へと向いてしゃがみこむと、にっと笑って言った。
『んで、流星。このままここに居て、いつか売り飛ばされるのと、オレと一緒に来んのどっちにする?』
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