彼女の旅

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突然旅に出ると言い出した私に、両親は大反対した。 親からすればまだまだ子供の、しかも一人娘が旅なんて信じられないという態度だった。 おまけに、旅の目的が彼に会うことだとわかると、態度はさらに悪化。 旅人がくれた写真も燃やされてしまった。 それから何ヶ月も私はずっと厳戒監視された。 それも両親だけじゃない。 國中の人に監視されてた。 気のせいなんかじゃない。 私が行く先々で知らない人までもが声を掛けてきて、遠まわしに「旅は止めろ」と言ってくる。 本当に嫌だった。 一時は旅なんか止めようと本気で考えたこともあった。 でも、やっぱり決意は変らなかった。 私はある晩、家をこっそり抜け出した。 國の出入り口である門まで辿り着くと、入出國審査官の詰め所を覗いた。 えっ… 「…ヴァイス、ちゃん?…どうしたんだい?こんな夜中に…」 そこには一人の審査官が居た。 「ウィズ…お兄ちゃん…」 彼の、お兄さん
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