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「ふざけるな!!!」
そう怒鳴りながら、机を叩いて立ち上がった。
突然の事で呆然としている私をよそに、お兄ちゃんは怒鳴り続けた。
「あいつが生きてる!?有り得ない!」
「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…」
私は恐くて、必死に謝った。
「あんなガキが國外追放で生きてる筈がない!!それにあいつはボクがっ…」
そこまで言って、お兄ちゃんは急に黙って、肩で荒く息をしながら、私を睨みつけるように見た。
でも、その視線は徐々に和らいで、お兄ちゃんは力尽きたように椅子に戻った。
「…ごめん…あまりに、突然だったからさ…死んだとばかり思ってたしね…」
謝罪の言葉に、少しだけ心が軽くなった。
それでも、お兄ちゃんへの不信感は拭いきれなかった。
早くここから出たい…
そう思った私は、本題を切り出した。
「あの…私、出國したいんです…」
恐る恐るそう切り出すと、お兄ちゃんはゆっくりと私を見た。
その目には、さっきのような恐さは消えていた。
「そう、だったね…今夜ボクは、昨日からの徹夜で寝ていた。朝起きると、外に停めてある車が一台無くなっていて、ボクは叔父さんに怒られる。……弟に宜しく……」
そう言ってお兄ちゃんは机にうつ伏せて、微動だにしなくなった。
静けさを取り戻した詰め所から、私は音を立てないようにして立ち去った。
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