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國外には見渡す限りの草原が広がっていた。
朝を迎えようとしている世界は、私が見てきたモノの中で何よりも美しかった。
息を飲むのもほどほどに、私は詰め所の脇に停めてあった小さな車に向かった。
中を覗いて見ると、キーはささったまま。
いつでも出発出来る。
その小さな車の助手席に荷物を放り込んで、運転席に乗り込んだ。
車なんて、ちょっとしか運転したことないけど、大丈夫…だと思う…
なんとか車を動かすと、草原にできていた、土が踏み固められただけの道を走り始めた。
こうして私は、たった一枚の写真を手に、彼を捜すため、広大な世界に飛び出した。
「まだ、始めたばっかりなんだから、諦めちゃ駄目だよね!」
やる気を取り戻した私は、車に戻ってエンジンをかけた。
貴方は今何処で
何をしていますか?
この世界の
何処かにいますか?
私、絶対貴方に会うから。
あの時伝えられなかった言葉、今度こそ伝えるよ。
その時に、貴方が笑顔でいてくれますように…
=終=
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