21人が本棚に入れています
本棚に追加
バァンッ バァンッ
岩ばかりの山岳地帯、その一角で、破裂音が響いていた。
重低音のそれが響くたび、そこにある岩に穴があいていく。
穴と言っても、中心から円状に岩をえぐるようにあいていった。
しばらくして音が止むと、私は塞いでいた耳を広げると、マスターの足元に歩み寄った。
「どうですか、マスター?」
「やっぱり駄目。修理するしかねぇか。」
そう呟いたマスターは、持っていた銃をベルトに納めた。
マスターには名前が無い。
その他本人に関していえば、黒い髪に灰色の瞳をしていて、黒いジャケットを着て、その下には真っ白なワイシャツで、黒いズボン。
考えどころか、性格すらわからない全く謎な人間である。
そんなのでも、とりあえず私の主人である。それ故に私は“マスター”と呼んでいる。
マスターは一応、旅人である。黒と白のなんともモノクロなバイクで“世界”を見て回っている。
今はそのバイクを脇に停めて、銃の試し撃ちをしていた所だ。
最初のコメントを投稿しよう!