修理士のいる國

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「人間は嫌いだ。」 國の門をくぐると、人間であるマスターよりも、犬である私が言うべきセリフをマスターはぼやいた。 私たちは今、國(クニ)にいる。 世界各地では、人間が集団を作って、決まりごとやら、時間やら、ほかの人間などを常に気にして生活しているのが“國”だと、マスターは言った。 國はある程度の領地を持っていて、その領地を壁で國って、國外に存在する盗賊や怪物、敵國からの襲撃に備えている。と、いうあたりは大体何処の國も同じらしい。 マスターと共に数カ國を回ったが、どの國も高い壁を備えていた。 ただ、中の様子はそれぞれ違う。 言葉は大体同じだが、その國独特の使い方、言葉を話す國もある。 文化、生活習慣、規則、治安…そのあたりはまったく違う。 私はそれを面白いと思うが、マスターは違うらしい。
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