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眠く怠さの残った鉄になってしまったかと錯覚する程の身体を何とか動かし、仕事の仕度をする。
キッチンから立ち込めるコーヒーと玉子やウインナーの香が鉄のような身体をほぐしていく。
「おはよう」
カナが言う。
心なしか少し疲れているように見える。
続けてユメが満面の笑顔での
「おはよ~♪」
その一言で昨夜の痛みも忘れそうな程だった。
そう。昨夜もまた痛みで目が覚めていた。
昨夜の痛みは酷かった。
胸に残る傷痕をナイフでなぞるように痛みが走った。
あまりの痛みに…
痛みの後…
いつ痛みが終わったんだ?
痛くて目が覚めたまではわかる。
でも…その後は?
寝たのか?
気を失ったのか?
途端ツグは言い知れぬ不安感に襲われた。
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