闘争から出逢いへ

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『エルフ暦1180年、当時のエルフ族族長はその偉大なる力を持って太陽が輝きを失いつつあることを知った。 現に作物は育ち難く、山に獣の気配は薄れ、食べる物が少なくなっていた。 そこで族長はある決断を下した。 「この星を別の太陽のある場所まで移動させよう」 まるで夢物語のような話だ。 しかし、彼はそれを実現した。 世界中の魔法を操れる者と魔法生物とを束ね、世界中の魔力を用いて彼はこの星を宇宙に漂う《一つの船》とする事に成功したのだ。』 ……… 「久々に実家に帰って来てみれば。何なの?この子供向けアニメは。随分と古くさい話だね」 テレビ画面はCMに切り替わっている。『エルフの森の奥深くにある神秘の湖。その水をふんだんに使用した最高品質の化粧水―お求めはコンビニで。』 「だってしょ~がないでしょ?このくらいしか見る番組ないんだもん」 愚痴る僕とそれがさも当然のように答える妹。 「そんな事よりも何で帰って来たの!?仕事、クビになったんだ」 「勝手に決めつけるなよ。今日はたまたま休みを貰えて、気が向いたから帰って来たんだよ」 「ふ~ん。ホームシックになったの?」 「はい、そ~ですよっと。そんな事より父さんは―仕事に行ってるんだろうけど、母さんは?」 「ハあ~ァ。今度はマザコン!?いいかげんにしてよね~。仮にも私の兄キなんだからさ~」 「…もう言いたい放題だな、妹よ。で、もう一度訊くが、母さんは?」 「友達と熱海っていう所のの温泉旅館に泊まりに行ってるよ、マザコン兄キ☆」 「なんかツッコむのに疲れたな…」 「アハハッ。もう年なんじゃないの?」 「僕はまだ16歳だ!」 「でも大分老けて見えるな~。あ、そろそろCM終わるよ」 僕と妹は同時にテレビ画面を見る。
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