『真実の月』と『真実の友』

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ピートは今までの経緯を話した。 穴に落ちたこと。 シロクマに会ったこと。 シロクマに助けられたこと。 そして…シロクマを助けたいことを、皆に伝えた。 「シロクマなんてほっときなよ! 弱ってたって獣は獣だよ!」 「そうだよ、腹ペコなら助けたって、僕達が食べられちゃうよ!」 「そうだね…シロクマなんて見るのも恐いよ。」 ウサギの群れからは良い返事は返ってこなかった。 これが現実…? シロクマの言った通り、仲間なんてこんなものなのかもしれないと、ピートが落胆したその時、一匹の目鼻立ちの整った、ハンサムなウサギが叫んだ。 「君たちは今何を見たんだ!? そんな汚い気持ちで、こんな美しい月を見て、恥ずかしいとは思わないのか!? 彼が群れからはぐれたのに、気づいた者はいるか!?」 誰も反応しなかった。 ハンサムなウサギは話しを続けた。 「僕たちは『真実の月』を見たいという私利私欲に捕らわれ、仲間の危機に気付かなかった! それをどうだろう? そのシロクマは、自分の食への欲求を抑えて、夢を持つウサギの命を救ってくれた! どっちが獣だっ!?」 そう言い終えると、ハンサムなウサギは、一番後方にいる、ピートのもとへと向かった。
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