『真実の月』と『真実の友』

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「わざわざこんな山奥に何をしに……ん? あっ!?そうか!」 シロクマは何かを思い出した様だ。 「『真実の月』かっ!?」 ピートはピタッと動きを止めた。 「シロクマさん、『真実の月』を知ってるの!?」 「小さい頃に見たことがある。 そうか…あれからもう10年か…。」 シロクマは物思いにふけるように、夜空を見上げた。 「凄い凄い! 見た事あるんだ! その『真実の月』が今日見れるんだ! 10年に一回しか見れないから、僕たちウサギにとっては、最初で最後のチャンスなんだ!」 ウサギの寿命は8年~10年と言われている。 「残念だったな。 『真実の月』が見られる、真実の丘は、もうすぐそこなのにな。 この穴からじゃ、月は見えないぜ。」 「だからこの穴を抜け出すんじゃないか!」 「もう無理だろ。 お前の作った階段を見てみろよ。」 シロクマは雪の階段を指差した。 ピートの努力もむなしく、階段は1メートルも満たない高さまでしか完成していない。 「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 絶対に『真実の月』を見るんだ!」 ピートはそう叫ぶと、雪の階段へと駆け出した。 階段の頂上まで行くと、力を込めて垂直の壁へと飛び付いた。 一歩、二歩…壁を蹴り上がった。
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