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ウサギは唐突にそんな事を訪ねた。
「夢……。
そうだな……。
友達が欲しかったな……。
ただ群れるだけの仲間じゃなく……『真実の友』が欲しかった。」
シロクマは力無く答えた。
「わかった!
それじゃあ一緒に探しに行こう!
『真実の友』を探しに行こうよ!」
「…。
そうだな…生きて出られたらな…。」
「約束だよ!?
約束したからね!
僕が戻って来るまで、少しの間待ってて!
絶対諦めちゃダメだからね!」
ピートの叫びもむなしく、シロクマからの返事は返ってこなかった。
そしてピートは走り出した…真実の丘へと…。
走る事数分。
シロクマの言った通り、真実の丘は近くにあった。
そしてその丘には、数十匹のウサギが同じ方向を見上げて、静止していた。
駆け付けたピートも、同じ方向を見上げた。
そこにはとても大きく、神々しいまでの光を放つ、満月があった。
「これが…『真実の月』」
ここまで困難な道のりを忘れさせるほど、それは美しく、心が癒やされた。
「はっ…!」
ピートは『真実の月』に見とれていたが、我に返った。
そして叫んだ。
「みんなぁ!
お願いがあるんだ!」
後方からの叫び声に、ウサギの群れも我に返り、一斉に振り返った。
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