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ピロリン♪ピロリン♪
春休み初日。
俺の元に届いた1通のメール。ディスプレイには‘勇介’との表示。
「何だよ~勇介のヤツ…」
俺は面倒臭げに携帯を開いた。
《急にだけどさ、顕壱って本当に前嶋の事好きなの?》
はぁ?何言っちゃってんの、この人…。
確かに俺は前嶋が好きだ。気が強いのに、本当は弱くて何処か惹く力のある前嶋嘉依(まえじまかえ)。叶わねぇけど好きだ。
《うん、本当だけど…》
送信っと…。
返事はすぐに来た。
《本当に?》…そんだけかよ(;゚∀゚)!!どうりで早いわけだ……。
《本当だってば!一体何なの?》少々キレ気味な俺…。
《分かった。今から電話する》え、何それ?つか勇介から電話とか珍しい
ブルブルブル…
俺の携帯が震えた。
「うぃ~顕壱だけど」
『あ、顕壱?もう1回聞くけど前嶋の事本気で好き?』
こいつしつこいなぁ…。
「さっきからそればっか!何度も言ってるやろ?」
『顕壱さ…佐田の悪口を前嶋に言ってたんだって?』
…んだよいきなり…。
「言ってたらどうなの?」
『前からうざかった。アイツが転校して行った事なんかどうでも良い?』
勇介の声が恐かった。
佐田とはつい最近転校して行った奴。…俺の、嫌いな奴…。
「…言ったよ、確かに」
電話越しにハァと溜息をつく声が聞こえた。
『何思ってもなぃ事言ってるの?』冷淡な声。
俺の中で何かが静かに切れた。
「思ってもなぃ事じゃない。俺はアイツが嫌いなの。欝陶しいんだよ、滅茶しつこい。前嶋の事も傷付けて…俺は佐田が嫌い」
『バーカ。お前さ、9月上旬から思い出してみ?佐田と仲良くなりたての頃…』
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