○●1通のメール○●

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ピロリン♪ピロリン♪ 春休み初日。 俺の元に届いた1通のメール。ディスプレイには‘勇介’との表示。 「何だよ~勇介のヤツ…」 俺は面倒臭げに携帯を開いた。 《急にだけどさ、顕壱って本当に前嶋の事好きなの?》 はぁ?何言っちゃってんの、この人…。 確かに俺は前嶋が好きだ。気が強いのに、本当は弱くて何処か惹く力のある前嶋嘉依(まえじまかえ)。叶わねぇけど好きだ。 《うん、本当だけど…》 送信っと…。 返事はすぐに来た。 《本当に?》…そんだけかよ(;゚∀゚)!!どうりで早いわけだ……。 《本当だってば!一体何なの?》少々キレ気味な俺…。 《分かった。今から電話する》え、何それ?つか勇介から電話とか珍しい ブルブルブル… 俺の携帯が震えた。 「うぃ~顕壱だけど」 『あ、顕壱?もう1回聞くけど前嶋の事本気で好き?』 こいつしつこいなぁ…。 「さっきからそればっか!何度も言ってるやろ?」 『顕壱さ…佐田の悪口を前嶋に言ってたんだって?』 …んだよいきなり…。 「言ってたらどうなの?」 『前からうざかった。アイツが転校して行った事なんかどうでも良い?』 勇介の声が恐かった。 佐田とはつい最近転校して行った奴。…俺の、嫌いな奴…。 「…言ったよ、確かに」 電話越しにハァと溜息をつく声が聞こえた。 『何思ってもなぃ事言ってるの?』冷淡な声。 俺の中で何かが静かに切れた。 「思ってもなぃ事じゃない。俺はアイツが嫌いなの。欝陶しいんだよ、滅茶しつこい。前嶋の事も傷付けて…俺は佐田が嫌い」 『バーカ。お前さ、9月上旬から思い出してみ?佐田と仲良くなりたての頃…』
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