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うーん…。
う…うん、ダメだわ。
「なにがダメなんだ。」
「…起きたくない」
「起きなさい、いちご!」
「ぎゃっ」
乱暴に布団をめくられ、あたしは無理矢理パパに起こされた。
瞼が重い。体がピリピリする。
「今日も学校行かなきゃだめなの…?憂欝だわ」
「若い子が朝からそれでどうするんだ!パパは仕事に行ってくるから早く支度するんだぞ!」
「ふぁーい…」
あたしは、普通の高校2年生。だと、信じている。
名前は、桜木いちご。(サクラギ イチゴ)
夢見が悪くっても、たまーに何かを感じ取ることができても、それはあたしだけじゃないはずだ。
……一種の“霊感”なのよ、きっと。
この変な力のせいで、学校では変人扱いされている。
『桜木に寄ると変な霊に取りつかれるんだって』
『気持ち悪いよね』
『一緒にいると怪我するらしいよ』
慣れることのない、周りからの視線。あたしの知らないところで、身に覚えのないことまで噂にされるのは気味が悪い。
学校…行きたくないなぁ…。
窓の外を見ると、どんよりとした景色だった。
雨が降りそう。灰色の雲がたくさん。
…まるで、あたしの心のようだった。
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