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「おはよー…」 ざわついていた教室が、一瞬にして静かになる。 そして、再びクラスのみんなが話しだした。 他愛もない話の中に、あたしへの陰口はどれくらい含まれてるんだろう。 「おはよう、いちご」 「おはよう結麻~…今日も一日生きてみせるよ」 「…またあんたは、朝からネガティブな」 唯一、あたしのことを恐がらない友達がいる。 友達というより、もう腐れ縁の幼なじみ。 安田 結麻(ヤスダ ユマ)。 あたしの家のお隣さん。 テニス部の結麻はいつも朝練で一緒に登校できないけど、クラスが同じなのが救いだった。 「なんか…今日は一段と騒がしいけど、気のせい?あっ、あたしまたなんかした?何もしてないよ、ほんとにあたし」 「はいはい、いちごの話じゃないから安心しな」 そう言われ、肩の力が抜ける。 身に覚えのない話を噂にされることに小さなトラウマができてるみたいだ。 なにかと周りの空気に敏感になってしまう。 「昨日、学校の先生が屋上で不審者を見たらしいよ」 「不審者…それがどうかしたの?ま、ま、まさかそれあたしじゃ」 「違う違う、あんたじゃないってば。いいから最後まで聞きなさい」 「はい…」
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