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「えっとね、まあ噂だからどっからこじれたのかわかんないけど…」 結麻が聞いた話はこうだ。 生徒は全員帰宅して、部活動も終わった後。 職員室を出た最後の教師が、職員室の鍵を閉めていると、物音が聞こえたらしい。 足音にしては小さくて、擦るような…人かどうかもわからない足音をたよりに、ついて行ったそうだ。 『誰だ!』 返事は返ってこなかった。 だけど、その足音に追い付いた…と思ったら、いつのまにか先生は屋上にいたらしい。 誰もいない真っ暗な屋上からは足音は消えていた。 すると、いきなり後ろにナニかの存在を感じとった。 ゆっくり振り返ってみると、目の前にいたのは……―― 「目の前に、いたのは?」 結麻の話は怪談話を聞いてるようだ。背筋がぞっと寒く感じる。 続きが聞きたくて、結麻をじっと見つめた。 「それがさぁ…みんな聞いた話がバラッバラなのよね。」 「バ、バラバラ?」 「その先生が見たナニかは誰も知らないの」 「どういうこと?」 「そのナニかは、真っ暗な屋上の鉄の柵を飛び越えて、…消えた。」 「消えた?人間じゃないじゃん、それ」 人間だったら、飛び越えれば死んでいるだろう。
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