8人が本棚に入れています
本棚に追加
「わくわくしてきた!そういうのがもともと好きな性分なの。ねぇ、私はどうすればいい?」
「なんだって人の気づかないところに『入口』があるものさ。そうだなあ…遊園地なんてのは、どうだい?」
タイムが笑う。いいことを思いついた、というようにくるくると動く瞳。
「遊園地?」
「知らねぇだろうな。面白いぞ、真夜中の遊園地は昼とは全く違う顔をしてる。人間が残していったざわめきと、鼓動。観覧車、回転木馬、逆向きに動くジェットコースター、迷路の先にのびる異次元!」
「すてき。…でも、ひとりで行くにはなんか不気味じゃない?」
「これから幽霊に会いに行くやつが言うことか?まぁいい、『入口』まで俺がついてってやるよ。大事な大事なお得意様だからな」
「ありがと!」
安堵の表情を見せるカノンの鼻先に、少年の指がピッと突きつけられる。
「ただし、」
「その先は自分で歩けよ?舞台を用意するまでが俺の仕事だからな。それに夢はひとりで見るもんさ。大丈夫、きっといい『友達』がお前を助けてくれるはずだ」
友達。
夢の世界へと誘う、友達。
最初のコメントを投稿しよう!