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「ねぇ、タイム。この水の音は何?」
「音?ああ、あれか。どっかの輩(ヤカラ)が夢の中で涙でも垂れ流してピーコラ泣いてるんだろうな。」
涙。
世界中の人が夢を見る夜、誰かが流した涙が、泉となって空気を揺らし、水をたゆたえていく。
悲しい夢か、恐怖の夢か、それとも嬉しい夢に流れる涙か。
「それともよだれかな。」
付け足すようにタイムが呟く。よ、よだれ?涙の泉なら美しいのに、ロマンチックの欠片もないな。食べ物の夢でも見てる人がいるのかしら。
ぴちゃ――――…ん。
そう考えると、思わずこの音にも笑いがこみ上がる。
「なーに笑ってんだよ。あんただって大概だぜ?有るだろ、枕がよだれの被害にー!とか、テスト用紙に水溜まりがー!とか。ひゃひゃひゃ。不可抗力だよなあ。」
カノンは自らを省みて確信する。
うん…わたしもあながち例外じゃあ、ないな。
ぴちゃん。
また音がひとつ。
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