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「カノンにアルト…随分としゃれてるな。親戚か?」
「何の血の繋がりもないよ。ただの幼なじみ」
"子供が生まれたら名前は何にしよう?"
中学からの親友は、まだ見ぬ未来に思いを馳せて互いの子供の名前を決めた。
一人は男の子を産んだ。
「一ノ瀬有斗くんと言いまーす!」
暫くして、もう一人は女の子を。
「有斗くん、夏音っていうのよ。仲良くしてあげてね。」
親友たちは子供を連れて、互いの家を行き来する仲になった。
「家族ぐるみ」ってやつだ。
───…
「かの、大変だよ。僕たち兄妹じゃなかったみたい!」
「知ってる。うちのママとあるとのママは、ずっと前から仲良しなんだよ。だから、かのは大きくなったら、あるとのお嫁さんになるの。かの達もずっと仲良しでいたいでしょ?」
「そうだね。かのが僕のお嫁さんになったら、いっつも晩ごはん一緒に食べられるね!」
「じゃあ約束ね。かのとあるとはずっと一緒。行こう、今日はうちんちでご飯だよ!」
少女は少年の手をとって走り出す。
まだ右も左も分からずに、ただ楽しいことだけを考えていた。
幸せだった、二人。
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