1.夢はひらく

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  「カノンにアルト…随分としゃれてるな。親戚か?」   「何の血の繋がりもないよ。ただの幼なじみ」   "子供が生まれたら名前は何にしよう?" 中学からの親友は、まだ見ぬ未来に思いを馳せて互いの子供の名前を決めた。 一人は男の子を産んだ。 「一ノ瀬有斗くんと言いまーす!」 暫くして、もう一人は女の子を。 「有斗くん、夏音っていうのよ。仲良くしてあげてね。」   親友たちは子供を連れて、互いの家を行き来する仲になった。 「家族ぐるみ」ってやつだ。 ───… 「かの、大変だよ。僕たち兄妹じゃなかったみたい!」 「知ってる。うちのママとあるとのママは、ずっと前から仲良しなんだよ。だから、かのは大きくなったら、あるとのお嫁さんになるの。かの達もずっと仲良しでいたいでしょ?」 「そうだね。かのが僕のお嫁さんになったら、いっつも晩ごはん一緒に食べられるね!」 「じゃあ約束ね。かのとあるとはずっと一緒。行こう、今日はうちんちでご飯だよ!」 少女は少年の手をとって走り出す。 まだ右も左も分からずに、ただ楽しいことだけを考えていた。 幸せだった、二人。  
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