1.夢はひらく

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  「うん…私、アルトに会いたい。人が死んだ向こう側の世界まで、もう一度会いに行きたい」   「お、てことは霊界希望か。随分と勇気があるようだが、さて…耐えられるかな」 ひょいひょいひょい。 全く、この少年はじっとするという事をしない。カノンの周りを軽やかに飛び回る。振り撒かれるいい香り。ああ、マシェリみたい…パンテーンかな?くらくらする。   「え、霊界ってそんなに怖いところ?」 「いや。怖かねえけど、仕組みが色々と複雑なんでね。それに、相手は知り合いとはいえ死人だぞ?どうすんだ、青白かったり、ゾンビみたいな声しか出なかったら。下手なお化け屋敷よりもホラーだぞ」 彼は手を前に出して飛び、幽霊を真似る。どろどろどろ。 思わず喉がなった。アルトがゾンビ? 「…いい。それに私、ちょっと興味あるから!お化けの仕組みとか、死者の世界。アルトがどんなんでも平気よ。勝手に死んじゃったこと、怒るくらいの度胸がないと!」 「じゃあ、了解。見せてやろう」 お望み通りの夢をな。  
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