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「うん…私、アルトに会いたい。人が死んだ向こう側の世界まで、もう一度会いに行きたい」
「お、てことは霊界希望か。随分と勇気があるようだが、さて…耐えられるかな」
ひょいひょいひょい。
全く、この少年はじっとするという事をしない。カノンの周りを軽やかに飛び回る。振り撒かれるいい香り。ああ、マシェリみたい…パンテーンかな?くらくらする。
「え、霊界ってそんなに怖いところ?」
「いや。怖かねえけど、仕組みが色々と複雑なんでね。それに、相手は知り合いとはいえ死人だぞ?どうすんだ、青白かったり、ゾンビみたいな声しか出なかったら。下手なお化け屋敷よりもホラーだぞ」
彼は手を前に出して飛び、幽霊を真似る。どろどろどろ。
思わず喉がなった。アルトがゾンビ?
「…いい。それに私、ちょっと興味あるから!お化けの仕組みとか、死者の世界。アルトがどんなんでも平気よ。勝手に死んじゃったこと、怒るくらいの度胸がないと!」
「じゃあ、了解。見せてやろう」
お望み通りの夢をな。
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