2.夜の遊園地

2/2
前へ
/19ページ
次へ
「わくわくしてきた!そういうのがもともと好きな性分なの。ねぇ、私はどうすればいい?」 「なんだって人の気づかないところに『入口』があるものさ。そうだなあ…遊園地なんてのは、どうだい?」 タイムが笑う。いいことを思いついた、というようにくるくると動く瞳。 「遊園地?」 「知らねぇだろうな。面白いぞ、真夜中の遊園地は昼とは全く違う顔をしてる。人間が残していったざわめきと、鼓動。観覧車、回転木馬、逆向きに動くジェットコースター、迷路の先にのびる異次元!」 「すてき。…でも、ひとりで行くにはなんか不気味じゃない?」 「これから幽霊に会いに行くやつが言うことか?まぁいい、『入口』まで俺がついてってやるよ。大事な大事なお得意様だからな」 「ありがと!」 安堵の表情を見せるカノンの鼻先に、少年の指がピッと突きつけられる。 「ただし、」 「その先は自分で歩けよ?舞台を用意するまでが俺の仕事だからな。それに夢はひとりで見るもんさ。大丈夫、きっといい『友達』がお前を助けてくれるはずだ」 友達。 夢の世界へと誘う、友達。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加