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「いつまでもあほヅラしてんなよ、お嬢さん。」
『お嬢さん』?
明らかに自分より年下の少年のその言い方がおかしくて、彼女はちょっと面食らう。
「あのー…わたしはどうしちゃったんでしょうか…」
敬語を使っている自分も何だか変だ。
「死んだ!」
「えぇ!?」
ひゃひゃひゃひゃ。異次元の空間に少年の笑い声が響く。この声はどこに届いているのか、遠くから鳴る雫の落ちる音に混ざってじわじわと溶けていくようだ。
「死んだっていうと、じゃあ、ここは黄泉の世界!?信じらんない、わたしまだ18なのに!何で!えぇ!何で!」
慌てふためく彼女に、少年は嘘だよ、と言葉を続ける。
「わーるかったよ、からかっただけだって!教えてやる。ここは夢の世界だ。厳密に言えば夢であって夢じゃないんだが…夢の入口ってとこか?」
今度は背の低い少年が彼女を見上げる番だ。
「俺は夢の門番、タイム。あんたは?」
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