プロローグ

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田舎の山奥に広い土地を持つ屋敷があった。 その広い広い庭に、レジャーシートを敷いて遊んでいる少女がいる。 少女は小さなポットに入れた葡萄ジュースを、小さなティーカップに入れて差し出しす。 「ヒツジさん、おちゃですよ。どーぞ」 年は6~7才と言うところだろう。栗色の長い髪を高い位置でツインテールにしている。意志の強そうな黒い瞳は、傷の無い白い肌に目立つ。フリルとレースが惜しみなく使われたピンク色のドレスがよく似合っている。 「ありがとうございます」 “ヒツジ”と呼ばれた少年は、笑顔で少女からティーカップを受け取った。 少女の様な華やかな服装ではなく、落ち着いた黒の燕尾服を着ている少年の年齢は、少女より2~3才年上の様に見える。 「ヒツジさん、おいしい?」 少女が少年の顔を覗き込むと、少年はニッコリ笑って言った。 「えぇ、とても」 「わたしが、ヒツジさんのために、つくったの」 「私なんかの為に……ありがとうございます」 幼いながらも丁寧な口調で礼を述べた少年は、自分よりも幼い少女に深々と頭を下げた。
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