act.00 始の終

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後に“四次元”と称される“亜空間”移動技術を開発した《クラウスト博士》は この技術による移動の“あらゆるロス”改善により、社会に貢献するだろうと言う希望とは別に、幾つか危惧する事と疑問があった ・長期滞在が物質…ひいては人体にどんな影響を与えるのか ・比較的安定領域であっても遭遇は困難ということは、事故防止の半面遭難時に発見不可能ではないか ・物質が存在しないにしては法則がカオス(混沌)的に不規則であり、何か未知の物質、又はエネルギーに満たされているのではないか ・何らかの未知生命体がいるのではないか そして最後に………… ・地上の“出口”からでは“接近の発見”不可能である為 “軍事奇襲”に利用されるのではないか 仮説の最後の項は 見事に的中する 神たる太陽の力すら手に入れようとする “業の生き物”たる人間には当たり前のことかもしれないが…… 《リスル王国・グラスト地方基地》 辺境とはいえ、一番ザウラント帝国に近い基地として拡大し……戦後も他に小規模基地を増設する代わりとして主要基地として機能している 「いよう、どうだ?」 管制塔の通信士が見張りから帰って来た空戦BTに聞く 『問題無い、だが嵐が来そうだ。ひよっこ共の到着時間は考えた方が良い』 明日の新兵…訓練生が来ればこのパイロットは教官をやる、今から責任を持って考えているのだろう 「ご苦労様“教官殿”では…?」 格納指示をしようと思ったが、警戒機器が反応している 滑走路のBTの様子から見て間違いではないらしい 『どうなってる!?』 先程までとは違って焦りに押された声がする 『レーダー画面全体に未確認機がいるぞ!!?』 「こちらでもだ、今照合している!」 その時……滑走路が一瞬“波打った” 仮にもアスファルト系の素材でできた地面が液状化するはずはない その驚きも束の間 黒い機体が複数“地面から”出てくる 『な!?何もn…』 空戦BTが推進を起動する前に背後から両断される 「この信号は……“ザウラント”」 ここで完全に基地の記録は途切れた
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