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私は温室へ通して貰っいテーブルを挟んでおば様と向かいあって座る
「蒼ちゃんが来なくなってしまってから私も主人も寂しくなったわって言ってたのよ」
そこにお手伝いさんが紅茶とケーキを運んで来てくれた
「すみません‥‥」
「いいのよ。‥‥そうさせてしまったのは私達だもの」
多分、私がこの家に来なくなった理由は二人とも気付いているはずだ
だから、今まで近寄る事も出来なかったのだから
「蒼ちゃん‥ごめんなさい。一樹の気持ちもあなたの気持ちも気付いていたのに‥‥」
私は首を振って答えた
「その事は‥もういいんです。今は私もお二人に幸せになって貰いたいと思ってますから」
そう言うとおば様はありがとうと言って微笑んだ
目元にうっすらと涙さえ浮かんでる気がした
「ここに座ってお茶をしてるとね時々思いだすのよ。まだ幼い蒼ちゃんが一樹にこの花は何?って聞いてる姿」
おば様は温室の中をぐるりと見渡すと懐かしそうに目を細めた
「ふふっ。一樹はね、蒼ちゃんの為に一生懸命花の名前を覚えたのよ。いつ蒼ちゃんに聞かれても答えられる様にって」
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