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「いつか‥‥隼人も私から離れて行く日が来るんじゃないかって思ったら‥‥頭の中が真っ白になった」
紗香は黙って聞いててくれたけど、やがてゆっくり口を開いた
「‥人って欲張りだよね。好きになればなるほど相手の気持ちが分からなくて不安になる」
目を逸らさずに真っ直ぐ私を見て少しだけ微笑む
「でもね、相手の気持ちばかり気にしてたら自分の気持ち見失っちゃうよ?大事なのは蒼の気持ち。蒼は今どうしたい?」
私は‥‥
「隼人と‥一緒に居たい」
そう言うと紗香は満足そうに笑った
「でも、ちょっと時間が欲しい。ちゃんといろんな事‥整理してそれから‥‥」
「そっか…でも、あんまり無理しないでね?蒼は何でも一人で抱えこんじゃうんだから!」
そう言って頬を膨らまして私を叱った
たったそれだけの事なのに嬉しくて私は笑った
紗香のお陰で少しだけ気持ちが軽くなったよ。
私は隼人が好き。
だから、隼人とずっと一緒に居たいよ。
―――ピンポーンッ
部屋のインターフォンが鳴り私と紗香は顔を見合わせた
モニターには隼人の姿
「‥紗香」
今はまだ隼人と向き合う自信がない
紗香は私の戸惑いを感じ取ってくれて
「私が出るよ。蒼は寝てるからって言って帰ってもらうね」
そう言ってモニターの通話ボタンを押して隼人と話しをしてくれた
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