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「何だ、もう終わり?俺の出る幕じゃなかったかな?」
あっさり引き下がった女の子達を見て彰先輩は拍子抜けしたように頭を掻いた
「‥ありがとうございました」
彰先輩が口を挟まなかったら私は彼女たちの言葉に呑み込まれていた
だから一応お礼を言って頭を下げる
そして、彰先輩の横を通り抜けようとすると
「冷たいなぁ~。俺、蒼ちゃんに会いに来たのにー」
そう言って私の前に立ちはだかる
「‥‥私は会う理由も話す事もありません」
そう言うと彰先輩の口の端がニヤリと上がった
「兄妹、なのに?」
それは私にしか聞こえないくらい小さな声だったけど
私は周りに聞かれてないか見回した
「ちょっと!こんな所でそんな事言わないでっ!」
「じゃぁ、場所変える?」
そう言われて頷くしかなかった
彰先輩に連れて来られたのは渡り廊下。
本当はもっと目立たない――屋上なんかが良かったが、生憎今日はシトシト雨だった
「親父には、連絡しないの?」
「私はあの人を父親だと認めた訳じゃありません」
そう言うと彰先輩はさもおかしそうに笑った
「ねぇ、陸にはもう言った?」
先輩な言葉で私は全身の血の気が引いた
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