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「あれ、おはよう、はなちゃん、昨日ぶり。」
『えと、山戸くん…。おはよう。』
「うん、おはよ。もうすぐホームルームだけど、本…なにか持ってく?」
『ん。あの…つかさうまの本、読みたくて。』
「しばさんだよ、はなちゃん。持ってくるから、座って待ってて。」
昨日より少し近くに山戸くんの体温を感じる。
こんなにも甘かったかな。
山戸くんの放つ甘ったるい空気に思わず喉を鳴らして立ち上がる。
『わたしも行く。』
振り返った山戸くんは一瞬びっくりした表情をみせたあと、またいつもの犬みたいに無邪気で、それでもわたしより随分と大人びた笑顔でクスっと口元を緩めたあと
「うん。」
と一言だけ返した。
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