輪投げチョコ

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輪投げチョコ

どれだけの間 わたしは避けて逃れてここまできたんだろう。 『むつかしい。』 授業中ひたすら睨む先には燃えよ剣~上~の2ページ目の前書き的な項目。 活字離れしすぎて本の読み方がわからなくなっているわたしは、随分長い時間ここから進めずにいる。 『借りるんじゃなかったや。』 フンとため息を吐き本をたたんで頬杖をつく。 校庭からは和気藹々とした明るい声が行ったり来たりして何だか笑われているみたいだ。 「はーなちゃん。」 『?……あ。』 「お昼、行かない?」 これおみあげー、と輪投げチョコを人差し指でくるくる回して笑う山戸くん。 『きみどり。』 と言って手を出すと 「きみどりは僕の。」 はなちゃんはこれ。とみずいろを差し出される。 一度みずいろのチョコをつまんで眺めみる。 チョコ越しに見える山戸くん。 どっちが甘いかな…とつまんでいたチョコを口へと運ぶ。 『同じ。』 「ほんの少しの着色料だもんね。」 人間もそんなかんじ。 同じ物質で出来てるのに ほんの少し色が塗られて勝手に好きな色ができて 『きみどりがよかった。』 とか想ってしまうんだ。
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